三大栄養素の中で、脂質と糖質は過剰な摂取で太るというのは定説となっています。
ところがタンパク質の場合は、食べ過ぎで太る、太らないの見解が大きく分かれます。
一体、どちらが嘘で、どちらが本当なのでしょうか?
これは、単に過剰となったカロリーが脂肪に変わるという簡単な話ではありません。
そこで今回は、タンパク質と体脂肪の関係を徹底検証してみましょう。
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【目次】
(1)単なるカロリー計算で太る、太らないは判断できない
- 単なるカロリー計算はダイエットには無意味
- 三大栄養素の特徴
- 食べ過ぎたタンパク質は脂肪になって太る?
(2)摂り過ぎたタンパク質が脂肪に変わるは嘘?
- カロリー制限は逆に太る
- 糖質制限でダイエットに成功しやすい理由
- タンパク質の摂取で血糖値は上がらない
- インスリンは栄養の貯蔵モードをオンにする
- タンパク質の摂取でインスリンは分泌されるのか?
(3)タンパク質は食事誘発性熱産生が高いので太らない?
(4)タンパク質を食べ過ぎると太る、太らない?
- 大きく分かれる2つの見解
- タンパク質は過剰分が体外に排出されやすい
- タンパク質から生成された糖質は体脂肪に変わりにくい
まとめ
(1)単なるカロリー計算で太る、太らないは判断できない
単なるカロリー計算はダイエットには無意味
ダイエットにおける定説は、摂取カロリーを消費カロリー以下に減らすと太らないという事です。
ただし同じカロリーを摂取したとしても、栄養素の種類や組み合わせによって、太る、太らないの度合いが違ってきます。
また栄養素によっては、実質的な摂取カロリーが異なってくる場合もあります。
そして一言で痩せると言っても、脂肪が落ちて痩せる場合と、筋肉が落ちて痩せ細る場合の2通りがあります。
ですから、太る、太らないについては、単なるカロリー計算で決まるというのは嘘という事になります。
つまりダイエットで痩せるなら、単にカロリーを計算するよりも、むしろ摂取する栄養素の割合が重要という事になります。
三大栄養素の特徴
栄養素を大きく分けると、脂質、糖質、タンパク質の三つになります。
これを三大栄養素と言いますが、体内利用のされ方は大きく異なります。
まず、糖質は優先的にエネルギーとして利用され、過剰分は中性脂肪に作り変えられて体脂肪として貯蔵されます。
また、脂質はエネルギー利用されるだけではなく、身体の機能を調整したりホルモンの材料になったりもします。
血中では脂肪酸などに分解されて利用されますが、過剰分は中性脂肪となって体脂肪に変わります。
つまり、脂質と糖質は過剰分が脂肪に変わりやすいので、食べ過ぎると太るという事になります。
食べ過ぎたタンパク質は脂肪になって太る?
では、タンパク質の場合はどうか?
タンパク質は消化されるとアミノ酸に分解され、筋肉や皮膚などの身体の構成材料となり、また筋肉のエネルギーとしても利用されます。
そして、過剰となったアミノ酸は体外に排出されやすい上に、アミノ酸そのものは簡単に脂肪に変わる訳ではありません。
その辺について詳しくは、後ほど解説したいと思います。
つまり脂質や糖質とは違って、摂り過ぎたタンパク質がそのまま脂肪となって太るというのは嘘という事になります。
ですから、タンパク質の食べ過ぎで太る、太らないについては、幾つかの視点から検証する必要があるでしょう。
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(2)摂り過ぎたタンパク質が脂肪に変わるは嘘?
カロリー制限は逆に太る
ダイエットと言えば、以前まで主流であったのがカロリー制限です。
しかしカロリー制限は食欲が満たされないストレスが多く、大抵は長続きしないのです。
それどころか、逆にリバウンドを起こして太る場合も少なくはありません。
仮に暫く続いたとしても、体脂肪より筋肉が落ちやすくなるので、結局のところ健康的には痩せないのです。
つまり、カロリー制限でダイエットに成功できるは嘘という事になります。
※参考記事はコチラ⇒なぜ、食べないダイエット方法では痩せないのか?太る理由と問題点
糖質制限でダイエットに成功しやすい理由
そこで、最近になって注目されているのが糖質制限です。
糖質制限とは、優先的にエネルギー利用される糖質の摂取を減らして、予備エネルギーの脂肪を燃やすダイエット方法です。
しかも、糖質の摂取を減らした上で必要なカロリーを満たす食事方法ですから、しっかりと食べながら痩せられるのです。
これが、糖質制限をするとダイエットに成功しやすい理由です。
当然の事ながら糖質の摂取を減らすと、脂質はもとより特にタンパク質の摂取の割合が増加します。
こうした点から考えると、タンパク質は食べ過ぎても太らないという仮説が成り立つ訳です。
タンパク質の摂取で血糖値は上がらない
では、タンパク質と糖質の違いとは何でしょうか?
それは糖質を摂取すると血糖値が上がりますが、タンパク質および脂質の摂取による直接的な血糖値の上昇は起こらないという事です。
ちなみに、以前まではタンパク質や脂質も少なからず血糖値を上げると考えられていましたが、それは嘘という事が分かったようです。
最近の研究では、食事によって血糖値を上昇させるのは糖質のみという事が明らかになっているのです。
それもその筈で、血糖とは文字通り糖質が素になっていますから、タンパク質や脂質とは別物という事になります。
そして、血糖値の上昇に伴うインスリンの分泌は、太る、太らないの大きな鍵を握っています。
ただし糖尿病の人と健常者を比べると、同じ内容の食事をしてもインスリンの分泌量が変わってきます。
そこで今回は、あくまでも健常者についての検証を進めていきたいと思います。
インスリンは栄養の貯蔵モードをオンにする
インスリンの役割は、血糖を肝臓や筋肉に運んでエネルギー源(グリコーゲン)として貯蔵する事です。
ただし、肝臓や筋肉にストックできる血糖の量は1500キロカロリー程度でしかありません。
そして、この量を超えて過剰となった血糖は中性脂肪に作り変えられるので、それが体脂肪となって太る訳です。
一方で、タンパク質は消化されるとアミノ酸となりますが、摂り過ぎた分がそのまま中性脂肪に変わる訳ではありません。
また、優先的にエネルギー利用される糖質が補給されると、インスリンが脂肪の分解を抑制して合成を高めます。
ですから、血糖値が上昇するタイミングで摂取した脂質というのは、そのまま体脂肪として貯蔵されやすくなるのです。
つまり、糖質の摂取に伴うインスリンの分泌は、栄養の貯蔵モードをオンにしますから、食べ過ぎた糖質や脂質は体脂肪となって太るのです。
こうした点を踏まえると、糖質と脂質の食べ合わせが最も太りやすいと考えるのが自然です。
一方、タンパク質の摂取で血糖値は上昇しないので、インスリンの分泌は起こらないという事になります。
以上の点からも、タンパク質は食べ過ぎても糖質のようには太らない栄養素だと言える訳です。
タンパク質の摂取でインスリンは分泌されるのか?
ところが、タンパク質の摂取によってもインスリンの分泌が高まるという見解もあります。
ただし、血糖値を上げないタンパク質の摂取が、直接的にインスリンの分泌を引き起こしている訳ではありません。
糖質制限においては、糖質の摂取を減らせば減らすほどタンパク質の摂取量が増加します。
すると高血糖は起こりにくい訳ですが、ともすれば逆に低血糖を招く恐れもあるでしょう。
血糖値は上がり過ぎても下がり過ぎても身体に支障が及びます。
そこで、低血糖の状態になるとグルカゴンと呼ばれるホルモンが分泌され、血糖値の上昇が起こるのです。
すると、当然の事ながらインスリンが分泌される事になります。
簡単に言うと、グルカゴンとインスリンは真逆の働きをしながら血糖値を一定に保っているのです。
つまり高タンパクな食事というのは、間接的にインスリンの上昇を高める場合があるという事です。
ただし、低血糖を回避する為に生成された血糖が、脂肪に変わって身体に溜まるとは非常に考えにくい訳です。
こうした点からも、たんぱく質は食べ過ぎても糖質のようには太らない栄養素という事になります。
つまり、タンパク質は太るというのは嘘と言っても良いでしょう。
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(3)タンパク質は食事誘発性熱産生が高いので太らない?
では、タンパク質の食べ過ぎで太る、太らないについて、更に別の視点から検証してみましょう。
食べ物を摂取すると消化吸収が起こりますが、この時に内臓器官はエネルギーが必要となります。
つまり、食事をするとカロリー消費が起こる訳です。
これを食事誘発性熱産生と言い、その割合はタンパク質が30%、糖質が6%、脂質は4%と言われています。
例えばタンパク質を100キロカロリー摂取したとすれば、その30%に当たる30キロカロリーが消費されるという事です。
この場合、実質的な摂取カロリーは70キロカロリーであると考える事もできる訳です。
これに対して糖質や脂質というのは、消化吸収に伴う消費カロリーが非常に低いという事が分かります。
つまりタンパク質に比べると、実質的な摂取カロリーの割合が高くなるという事になります。
以上の点を踏まえると、同じカロリーを摂取した場合には、タンパク質が最も太らない栄養素であると言える訳です。
ですから、やはりタンパク質は太るというのは嘘という事になりそうです。
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(4)タンパク質を食べ過ぎると太る、太らない?
では、タンパク質を食べ過ぎると太る、太らないについて、今度はその過剰分について検証してみましょう。
大きく分かれる2つの見解
タンパク質が消化されるとアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。
このアミノ酸が過剰となった場合の見解は大きく2つに分かれます。
1つは、過剰となれば脂質や糖質と同じように脂肪となり、蓄積されて太るという考え方です。
しかし、単に余剰カロリーが体脂肪となって太るというのは、あくまでも三大栄養素を一まとめにした見解ですから説明が不十分です。
その一方で、アミノ酸の過剰分は体脂肪に変わりにくいので太らないという見解もあります。
こちらの見解については、次のような説明ができます。
タンパク質は過剰分が体外に排出されやすい
タンパク質は一度にたくさん摂取しても、体内で上手く利用される量には限りがあると言われています。
その量には個人差がありますが、目安としては30g程度というのが一般的です。
そして、食べ過ぎたタンパク質は体外に排出されやすいと考えられています。
つまりタンパク質というのは、糖質や脂質とは違って身体にストックされにくいという事です。
そうした理由から、例えばボディビルダーは体内のアミノ酸レベルが低下しないように、こまめにプロテインなどでタンパク質を補っているのです。
そして彼らは実際に、あれだけの筋肉を見事に維持しています。
筋肉を構成するアミノ酸の不足は、異化現象による筋肉の減少を招きやすいので、ボディビルダーは出来るだけそれを避けたいのです。
こうした点を踏まえても、タンパク質は食べ過ぎても太らない栄養素であると考えられる訳です。
タンパク質から生成された糖質は体脂肪に変わりにくい
そうは言っても、過剰となったタンパク質の一部は脂肪となって蓄積される、という見解もあるかもしれません。
もしタンパク質が脂肪となる可能性があるとすれば、その場合は糖新生が関わってきます。
糖新生というのは、体内の糖質が枯渇した場合にアミノ酸や脂肪から糖質が生成される事です。
ですから、タンパク質が脂肪に変わって太るとすれば、まずはアミノ酸が素になって糖新生が起こる事になります。
そして、糖新生によって生成された糖質が中性脂肪に作り変えられ、その上で体脂肪として蓄積される過程が必要になる訳です。
これは糖質や脂質が体脂肪になるよりも、かなり回りくどい仕組みである事は確かです。
しかも、不足した糖質を補給するために糖新生が起こり、そこで生成された糖質が敢えて回りくどい過程を経て体脂肪になるとは考えにくい訳です。
つまり糖新生で生成される糖質は、あくまでも必要量を満たす程度と考えるのが自然です。
こうした点においても、タンパク質は食べ過ぎても太らないと考えるのが妥当です。
ですから、やはりタンパク質は太るというのは嘘という事になりそうです。
まとめ
(1)同じカロリーを摂取したとしても、栄養素の種類や組み合わせで太る、太らないの程度が変わってきます。
(2)タンパク質の過剰分は、糖質や脂質のようにそのまま体脂肪に変わる訳ではありません。
(3)タンパク質の摂取量が増える糖質制限のダイエット効果を踏まえると、タンパク質は食べ過ぎても太らない栄養素であると考えられます。
(4)タンパク質は身体にストックされにくので、過剰分が体外に排出されやすい傾向にあります。
(5)糖新生によってタンパク質から生成された糖質が、太るほどに脂肪に変わるとは考えにくい。
いかがでしょうか。タンパク質を食べ過ぎると太る、太らないについては様々な見解があります。
まだ解明されていない点については、今後の研究によって少しずつ明らかになってくるでしょう。
ですからタンパク質の嘘と本当について、今回の内容は一つの見解として参考にして頂ければと思います。
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