体脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。
どちらも、余分なカロリーが身体に溜まった状態ですが、
この2種類の脂肪は性質に大きな違いがあります。
では、増え過ぎると身体に悪影響を与え、生活習慣病の原因になるのは一体どちらの脂肪でしょうか?
そこで今回は、皮下脂肪と内臓脂肪の違い、見分け方、落とし方について解説します。
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【目次】
(1)皮下脂肪と内臓脂肪の見分け方!あなたの体脂肪をチェック
- 見分け方は簡単
- あなたの体脂肪をチェック!
(2)皮下脂肪と内臓脂肪の性質の違いとは?
- 役割の違い
- カロリーバランスに対する増減の違い
- 増殖の仕方の違い
- 身体に及ぼす影響の違い
(3)悪玉は皮下脂肪よりも内臓脂肪!その悪影響とは?
- 内臓脂肪が増加すると…
- 高血圧に注意
- 高血糖から糖尿病へ
- コレステロールはバランスが大事
(4)これが、皮下脂肪と内臓脂肪の落とし方のコツ
- 高タンパク低糖質な食事で体脂肪を落とす
- 体脂肪を落とすなら筋トレ
まとめ
(1)皮下脂肪と内臓脂肪の見分け方!あなたの体脂肪をチェック
見分け方は簡単
皮下脂肪と内臓脂肪の見分け方は非常に簡単です。
まず、「皮下脂肪」は皮膚の上から指でつまめる脂肪で、一般的には男性よりも女性に付きやすい脂肪です。
そしてダイエットを行うと、基本的には身体の末端から中心部に向かって次の順番で落ちていく傾向にあります。
「手首・足首」→「前腕・ふくらはぎ」→「二の腕・肩」→「太股」→「顔・胸」→「腹回り」→「お尻」
これは身体の生理的な反応ですから、例えば腹回りの脂肪だけを部分的に落とす事は出来ない訳です。
それが、ダイエットによる部分痩せは医学的にも難しいと言われる理由です。
ですからダイエットを始めた場合、お尻や腹回りの皮下脂肪が落ちるまでには、しばらくの時間を要します。
一方の、「内臓脂肪」はお腹の内臓周りに溜まる脂肪で、一般的には女性よりも男性に付きやすい脂肪です。
ただし、女性も更年期になると内臓脂肪が溜まりやすくなります。
参考記事⇒女性のメタボは、お腹周りが更年期に大きくなる!その理由と対策
この内臓脂肪が増えてくると、いわゆるメタボと診断される可能性が高まります。
このように、皮下脂肪と内臓脂肪は付く場所がそれぞれ異なりますから、その見分け方は簡単です。
ちなみに、この2種類の脂肪を合わせた体脂肪率の標準は、男性で15~20%、女性で20~28%と言われています。
あなたの体脂肪をチェック!
ではここで、年齢と共に溜まってくる体脂肪の状態を調べる4つの方法を紹介しておきましょう。
「BMI値(体格指数)」
これは肥満度をチェックする方法で、体脂肪全体が標準より多いか少ないかを調べます。
その計算方法は次の通りです。
↓ ↓ ↓
「BMI」→体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
⇒この数値が25以上であれば肥満と判断されます。
ただし、筋トレなどを行って筋肉太りをしている場合も肥満と判断される場合があります。
「ウエスト・ヒップ比」
これは、体脂肪の付き具合による体型をチェックする方法で、計算方法は次の通りです。
↓ ↓ ↓
「ウエスト・ヒップ比」→ウエスト(cm)÷ヒップ(cm)
⇒この数値が男性で1,0以上、女性で0,8以上ならリンゴ体型と判断され、0,7以下で洋ナシ体型と判断されます。
「リンゴ体型」とは、内臓脂肪が増加してお腹周りがリンゴの様に膨らんで見える状態です。
これは特に中年男性に多く見られる、いわゆるメタボ特有のポッコリお腹の体型です。
「洋ナシ体型」とは、お腹周りから下のヒップや太ももに皮下脂肪が増えて膨らんでいる状態です。
ちょうど、見た目が洋ナシのような感じで女性に多い体型です。
「ウエスト・身長比」
これは、腹回りの肥満度をチェックする方法です。
↓ ↓ ↓
「ウエスト・身長比」→ウエスト(cm)÷身長(cm)
⇒この数値が0,5以上で腹回りが肥満と判断されるのでメタボの疑いアリです。
「メタボ基準」
これは、2008年4月に開始されたメタボ検診に適応されている診断基準です。
メタボ基準値は、ウエストが男性85cm以上、女性が90cm以上となっており、
この数値を満たした上で、「高血圧」「血糖値」「脂質異常」のいずれか2つに該当すればメタボと診断されます。
参考記事⇒メタボ基準とウエストの測り方!腹囲が気になる場合は自己チェック
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(2)皮下脂肪と内臓脂肪の性質の違いとは?
皮下脂肪と内臓脂肪の性質の違いは大きく次の4つです。
役割の違い
体脂肪は何かと敬遠されがちですが、実は色々と大切な役割があります。
例えば、「皮下脂肪」は保温による体温調節の働き、あるいは外部からの衝撃を和らげるクッションの役割があります。
また、飢餓に備えてエネルギーを貯蔵しておく場所でもあります。
一方、「内臓脂肪」は内臓の位置を正常に保つ、あるいはクッションとして内臓を保護する役割があります。
また、日常的に使われるエネルギーを蓄えておく場所でもあります。
そして、正常な内臓脂肪は超善玉ホルモンのアディポネクチンを分泌します。
参考記事⇒これが、メタボを撃退するアディポネクチンの絶大な効果です!
カロリーバランスに対する増減の違い
「摂取カロリー」-「消費カロリー」=「余剰カロリー」という事になりますが、
体脂肪というのは、この余剰カロリーが貯蔵された状態です。
つまり、体脂肪はカロリーバランスの変動に伴って増減をする訳ですが、
皮下脂肪と内臓脂肪は、その増減に大きな違いがあります。
まず、「皮下脂肪」はカロリーバランスの変化に対してゆっくりと反応しますから、その増減は長期的で時間がかかります。
貯金に例えると、コツコツと貯めて小出しに使う定期預金によく似ています。
一方の「内臓脂肪」は代謝が活発なので、カロリーバランスの変化に対して迅速に対応します。
ですから日常的な増減が激しく、溜まりやすくて落ちやすいという性質があります。
貯金に例えれば、給料が振り込まれたかと思うと、生活費などに使って直ぐに目減りしてしまう普通預金に似ています。
このように、皮下脂肪と内臓脂肪は余ったエネルギーを貯蔵するという点は同じですが、その増減の仕方は大きく異なります。
増殖の仕方の違い
体脂肪を細胞レベルで見てみると、脂肪分を含んでいる脂肪滴と呼ばれる部分が大半を占めています。
そして、余剰カロリーは中性脂肪となって脂肪滴に取り込まれ、
それに伴って脂肪細胞も3~4倍にまで大きく膨らみます。
そして、「皮下脂肪」は脂肪細胞がある程度まで大きくなると、今度は数を増やして新たな中性脂肪の受け入れ先を確保します。
なお、増殖した脂肪細胞の寿命は約10年と言われていますから、ダイエットで脂肪細胞の数自体が減る訳ではありません。
つまり皮下脂肪が落ちるというのは、脂肪滴に含まれる脂肪分が減少して脂肪細胞が小さくなるという事です。
一方の「内臓脂肪」も中性脂肪を溜め込みながら細胞が大きくなるのですが、細胞の数は増えないと考えられています。
ですから、内臓脂肪に蓄え切れなかった中性脂肪は、次の受け入れ先である皮下脂肪へと溜め込まれる訳です。
身体に及ぼす影響の違い
今度は、脂肪が身体に及ぼす影響についてですが、まず「皮下脂肪」が増加した場合は、
体重増加により膝に負担をかけてしまう事がありますが、特に病気を引き起こす訳ではありません。
これに対して「内臓脂肪」が増加すると、善玉ホルモンのアディポネクチンが減少しますから、
その影響で、身体に様々な異変が起こりやすくなってきます。
特に中高年になると、この内臓脂肪が増加する傾向にあり、
40歳~74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボの疑いがあると言われています。
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(3)悪玉は皮下脂肪よりも内臓脂肪!その悪影響とは?
皮下脂肪と内臓脂肪の大きな違いは、身体に及ぼす影響です。
どちらの脂肪が悪玉かと言われると、生活習慣病を引き起こす可能性のある内臓脂肪という事になります。
では、その内臓脂肪の増加による悪影響について見ていきましょう。
内臓脂肪が増加すると…
正常な内臓脂肪というのは、アディポネクチンと呼ばれる超善玉ホルモンを分泌しており、
血圧、血糖、脂質の状態を正常に保つ重要な役割があります。
ところが、内臓脂肪が増加するとアディポネクチンの分泌が減少する事が分かっています。
すると、次の3つの悪影響が及ぶ可能性が高まります。
高血圧に注意
増加した内蔵脂肪からは、粘液性のある中性脂肪やコレステロールが漏れ出します。
これが血中に漂うと血液がドロドロになって血流を悪くしますから、
血管壁に余分な圧力が加わって高血圧を引き起こしやすくなります。
また、中性脂肪やコレステロールが血管壁に付着してくると血管が狭くなります。
すると、血液を強く押し流そうとして高血圧を引き起こすのです。
本来であれば、アディポネクチンがこうした問題を改善してくれるのですが、
内臓脂肪が増えると、その働きが低下して高血圧を招きやすくなります。
高血糖から糖尿病へ
また、増加した内臓脂肪からは遊離脂肪酸と呼ばれる物質が漏れ出します。
これは、血糖値を下げるインスリンの働きを鈍らせてしまいますから、
その影響で血糖値が下がりにくくなり、高血糖の状態になってしまうのです。
こうなると、膵臓は更に大量のインスリンを分泌し続け、やがてはオーバーワークとなって機能しなくなる場合もあります。
その結果、糖尿病を発症する可能性が高まるのです。
コレステロールはバランスが大事
コレステロールというのは、細胞膜やホルモンの材料になる大切な栄養素です。
そして、悪玉コレステロールは血管を流れて全身に届けられ、
善玉コレステロールが血管内に残った悪玉コレステロールを回収します。
ですからコレステロールというのは、善玉と悪玉のバランスがとれていれば身体の機能が正常に保たれる訳です。
しかし、内臓脂肪が増加するとこのバランスが崩れ、善玉コレステロールが減って悪玉コレステロールが増えてしまいます。
つまり、悪玉コレステロールにも本来は大切な役割があるのですが、
増え過ぎると血管に溜まって悪影響を及ぼすので悪玉と呼ばれている訳です。
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(4)これが、皮下脂肪と内臓脂肪の落とし方のコツ
皮下脂肪や内臓脂肪を減らすには、運動と食事によるダイエットが必要です。
そこで、最も効果的な体脂肪の落とし方を2つご紹介しておきましょう。
高タンパク低糖質な食事で脂肪を落とす
ダイエットを行うと先に内臓脂肪が落ちて、それから皮下脂肪が時間をかけてゆっくりと落ちて行きます。
ですから、まずは余分な内臓脂肪を使い切りましょう。
そのためには、高タンパク低糖質な食事が効果的です。
糖質とは糖分だけではなく、ご飯、麺類、パンなどの主食と呼ばれる炭水化物にも多く含まれています。
その役割としては、身体を動かすためのエネルギー源であり、
摂取するとブドウ糖となって肝臓や筋肉のエネルギータンクに一時的に蓄えられます。
このタンクの満タン量は1500キロカロリー程度であり、タンクに入り切らなかった糖質は脂肪に変わります。
ですから、糖質の過剰な摂取を控えれば、体脂肪の増加を抑える事が出来る訳です。
そして糖質を減らした分は、肉、魚、卵、大豆製品などに多く含まれるタンパク質の摂取を増やすと良いでしょう。
なぜなら、タンパク質は太りにくいので、ダイエットには最適な栄養源となるからです。
また、体脂肪が燃焼する為には水分が必要不可欠ですから、こまめに水を飲んでおくと良いでしょう。
ちなみに多くのモデルさんは、常に体脂肪が燃えやすい状態をキープするために、
ペットボトルを持ち歩いて、1日に2リットル近くの水を飲んでいるそうです。
脂肪を落とすなら筋トレ
運動で皮下脂肪や内臓脂肪を落とすのであれば筋トレがおすすめです。
なぜなら、筋トレで筋肉量を増やせば基礎代謝が上がり、
日常的な消費カロリーが増加して脂肪燃焼体質になるからです。
もし、有酸素運動で脂肪を落とすのであれば、筋トレと並行する事をおすすめします。
なぜなら、有酸素運動だけを続けていると身体は適応反応を示し、
長時間の運動を行うのに適した省エネ体質に変化するからです。
省エネ体質になると脂肪の燃焼効率が下がりますから、運動中のダイエット効果が落ちてしまいます。
ですからダイエットが目的であれば、まず筋トレで脂肪燃焼体質になり、その上で有酸素運動を行うのが理想的です。
参考記事⇒なぜ、メタボ解消には有酸素運動より筋トレが有効なのか?
まとめ
(1)皮下脂肪の特徴。
- 皮膚の下に溜まる
- 長期的な脂肪の貯蔵庫
- 付きにくく落ちにくい
- 脂肪細胞の数を増やしながら増殖する
- 病気の発症を招く訳ではない
(2)内臓脂肪の特徴。
- 内臓の周りに溜まる
- 日常的に使われる脂肪の貯蔵庫
- 付きやすく落ちやすい
- 脂肪細胞は大きくなるが数は増えない
- 増大するとメタボ発症の原因となり、生活習慣病を引き起こす可能性がある。
(3)効果的な脂肪の落とし方。
- 高タンパク低糖質な食事
- 筋トレで筋肉を増やして脂肪燃焼体質になる
いかがでしょうか。内臓脂肪が増加すると生活習慣病を発症しやすくなりますから、ぽっこりお腹が気になる場合はダイエットを始めましょう。
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