糖尿病患者やその予備軍の数は、年々右肩上がりの傾向にあります。
そして長い間、糖尿病は治らない病気であると思われていました。
しかし近年、糖質制限によって症状が改善したという多数の報告が寄せられています。
つまり、糖尿病は治る病気であるという事になります。
そこで今回は糖尿病の仕組みを理解しながら、その治し方について話します。
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【目次】
(1)糖尿病と、その予備軍について
- 糖尿病の患者数はどれくらい?
- 基準値は医療業界の意向次第
(2)糖尿病とは?その発生の仕組みと2つのタイプ
- 糖尿病と糖質
- 糖質を摂取すると何が起こる?
- 1型糖尿病とは?
- 2型糖尿病とは?
(3)高血圧の悪影響と、糖尿病の症状とは?
- 高血糖が血管を傷付ける
- 高血糖で糖化が起こる
- 糖化で老化現象が進む
- 糖尿病の症状
(4)1型糖尿病の治し方
- 1型糖尿病は治るのか?
- 1型糖尿病とインスリン注射
- 1型糖尿病とケトアシドーシス
(5)2型糖尿病は糖質制限で治る可能性が高い
- 日本糖尿病学会の提唱する糖尿病の治し方とは?
- 糖質制限ダイエットは糖尿病にも有効
- 糖質制限の効果
- 糖質制限ダイエットのコツ
まとめ
(1)糖尿病患者と、その予備軍について
糖尿病の患者数はどれくらい?
あなたは、国内に糖尿病患者がどれくらいいるかご存知ですか?
厚生労働省の調査によると、国内における平成26年の糖尿病の患者数は約316万人とされています。
そして糖尿病に伴う医療費は1兆円にも上っており、まさに巨大な市場と言えるでしょう。
また糖尿病予備軍の人も増加傾向にあり、こうした人たちは境界型糖尿病などというネーミングまで付けられているようです。
最近は、こうして何でも新しい病名が付けられる傾向にあります。
これについては、まるで健康な人を病人に仕立て上げているとする意見も少なくはありません。
基準値は医療業界の意向次第
また糖尿病と診断される数値については、医療業界の意向一つでいくらにでも設定する事が可能です。
特に血圧などは、その最も良い例ではないでしょうか。
ご存知の方もいると思いますが、高血圧の基準値というのは昔に比べて随分と引き下げられています。
つまり昔は健康と見なされていた人も、今では生活習慣病という立派な病名が付けられてしまう訳です。
心当たりのある方もいるのではないでしょうか?
こうして都合よく変動する医療業界の基準値というのは、あくまでも参考程度に見ておけば良いと思います。
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(2)糖尿病とは?その発生の仕組みと2つのタイプ
糖尿病と糖質
糖尿病というのは、簡単に言うと血糖値が下がらない症状です。
そこで先ずは血糖値について説明しておきましょう。
食べ物に含まれる栄養素は、脂質、糖質、タンパク質の3つに分けられます。
そして、この中で血糖値に大きな影響を及ぼすのは糖質ただ一つです。
ですから、脂質やタンパク質を摂取しても直接的には血糖値が上がりません。
つまり糖尿病が治る、治らないというのは、この糖質の摂り方次第という事になります。
糖質は砂糖などの糖分の他にも、ご飯、麺類、パンなどの主食と呼ばれる炭水化物やイモ類に多く含まれています。
糖質を摂取すると何が起こる?
糖質は消化されるとブドウ糖に分解され、そして小腸から吸収された後に血中を漂います。
つまり血糖とは血液中のブドウ糖の事であり、その濃度を示すのが血糖値という事になります。
血糖は膵臓のβ細胞で作られたインスリンの働きによって筋肉や肝臓に取り込まれます。
そして必要に応じてエネルギーとして利用されるのです。
しかしインスリンに異常が起こると血糖値が上手く下がらなくなり高血糖の状態になります。
そして高血糖が改善されなければ、やがて糖尿病を発症という事になる訳です。
これが糖尿病が起こる仕組みなのですが、糖尿病はその原因によって次の2つのタイプに分けられます。
一つはインスリンの分泌が少ない1型糖尿病で、もう一つはインスリンの働きが悪くなる2型糖尿病です。
では、この2種類の糖尿病の違いについて見ておきましょう。
1型糖尿病とは?
1型糖尿病と2型糖尿病は発症のメカニズムが異なります。
そして糖尿病患者のおよそ1パーセントが1型糖尿病と言われています。
これは主に小児期のウイルス感染の際に、自分の免疫力で膵臓のβ細胞まで破壊してしまう事で急激に発症します。
つまりインスリンを生成する機能そのものが失われてしまう訳です。
これが1型糖尿病の発症の仕組みですが、一度破壊されたβ細胞は自然再生が出来ないと言われています。
そこで1型糖尿病の場合は、インスリン注射を打って強制的に血糖値を下げる必要があるのです。
2型糖尿病とは?
一方で、糖尿病患者の大半を占めるのが2型糖尿病です。
こちらはインスリンの分泌はあるのですが、その効きが悪くなっている為に高血糖を引き起こす訳です。
こうした状態はインスリン抵抗性と呼ばれています。
インスリン抵抗性によって血糖値が下がりにくくなると、膵臓は更に大量のインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。
この様な状態が日常的に続いてしまうと、やがて膵臓はオーバーワークとなって機能低下を起こします。
そして膵臓の機能が著しく低下した場合に糖尿病を発症という事になります。
これが2型糖尿病の発症の仕組みですが、そもそもはインスリン抵抗性が引き金になっている訳です。
インスリン抵抗性が起こる主な原因は、増加した内蔵脂肪から分泌される遊離脂肪酸などの物質がインスリンの働きを弱めてしまうからです。
つまりメタボリックの場合は2型糖尿病に要注意という事になります。
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(3)高血糖の悪影響と、糖尿病の症状とは?
糖尿病になると、血液中の血糖の濃度が持続的に高くなってしまいます。
こうした高血糖の状態が引き起こす悪影響は大きく2つあります。
高血糖が血管を傷付ける
一つは血糖が血管を傷付ける事によって様々な合併症を引き起こす可能性があります。
例えば毛細血管が傷付くと、網膜症、腎臓の機能障害、神経障害が起こりやすくなります。
また太い血管が傷付いてしまうと、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞、動脈硬化が起こりやすくなります。
高血糖で糖化が起こる
そして、もう一つの悪影響は糖化です。
糖化とは、インスリンの異常で処理し切れなくなった糖質がタンパク質と結び付く事です。
タンパク質は、筋肉、皮膚、髪の毛、爪などの身体の大部分を形成しています。
そして糖化が起こるとタンパク質は変性して黄褐色に変色する事が分かっており、これは身体の「焦げ」とも言われています。
イメージとしては、白い食パンを焼くと焦げて硬くなり色が変わるのと同じです。
糖化で老化現象が進む
では、糖化によって身体には何が起こるのでしょうか?
例えば肌の場合は色がくすみ、弾力や張りが失われてシワやたるみの原因になる訳です。
つまり体内で過剰な糖化が起こってしまうと、どんなに高級なナイトクリームを塗っても肌は美しくならないという事になります。
心当たりのある方もいるのではないでしょうか?
このように高血糖は老化を促進しますから、若さを保つなら糖質の過剰摂取には注意が必要です。
糖尿病の症状
さて、高血糖が改善されずに糖尿病を発症した場合、具体的には次のような症状が現れます。
①:「排尿の回数が増える」
インスリンの異常で処理し切れなくなった血糖は、尿として排出される事になります。
その為に尿の回数が増え、尿に混じった糖が甘ったるい臭いを放つ事もあります。
それが糖尿病と呼ばれる所以でもあります。
②:「喉が渇く」
尿の回数が増える事によって、体内の水分が不足して喉が渇きやすくなります。
③:「疲れやすくなる」
糖質はエネルギー源となる栄養素ですが、糖尿病になると糖質を上手く身体に取り入れる事が出来ません。
するとエネルギー不足になり疲れやすくなるのです。
④:「痩せる」
糖質のエネルギーが不足すると、脂肪を燃やしてエネルギーにする、あるいは筋肉を分解してエネルギーに変えなければなりません。
その結果、体重が落ちて痩せる事もあります。
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(4)1型糖尿病の治し方
1型糖尿病は治るのか?
では糖尿病について理解していただいた所で、今度はその治し方を見ていきましょう。
一言で糖尿病と言っても1型と2型では原因が異なりますから、治し方も違ってきます。
まず1型糖尿病は治るのか?
これについては、現代の医療技術では難しいという事になります。
1型糖尿病は膵臓のβ細胞が壊れてインスリンの分泌機能が失われていますから、運動や食事による治し方では効果がありません。
そこでインスリンの注射を打つ事によって血糖値をコントロールする必要がある訳です。
ただ再生医療の研究が進めば、自分自身の細胞を利用して壊れた膵臓のβ細胞を再生できるかもしれません。
ですから、将来的には1型糖尿病も治る可能性が十分にあるという事になります。
1型糖尿病とインスリン注射
1型糖尿病を発症した場合、糖質の摂取を完全にカットすればインスリン注射を打つ必要がないのでは?
そう考える方もいると思いますが、実はそういう訳ではありません。
確かに糖質を摂取しなければ血糖値の上昇は起こりませんから、食事に伴うインスリン注射を打つ必要はありません。
ところが心臓や胃腸を動かしたり、呼吸をするのに必要なホルモンは、全て血糖値を上昇させる働きがあるのです。
つまり私たちの体内では、食事以外の時でも一日を通して血糖値の上昇が起こっている訳です。
その上昇を抑える目的で持続的に起こっているのがインスリンの基礎分泌です。
一方、食事で糖質を摂取した場合に起こるのがインスリンの追加分泌です。
ですから1型糖尿病の場合は基礎分泌を補う為にも、最低限のインスリン注射が必要となる訳です。
1型糖尿病とケトアシドーシス
また、インスリンが不足すると糖質のエネルギー利用が出来なくなるので、その代わりに脂肪を燃やしてエネルギーにしなければなりません。
この時に副産物として生まれるケトン体が血中に増加すると、血液が酸性に傾いて身体に異常が起こります。
これをケトアシドーシスと言います。
ですからケトアシドーシスを予防するには、脂肪だけではなく血糖もエネルギーとして利用する必要があるという事になります。
その時に重要な働きをするのがインスリンであり、特に1型糖尿病の場合はインスリンの注入が不足するとケトアシドーシスを起こしやすくなります。
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(5)2型糖尿病は糖質制限で治る可能性が高い
日本糖尿病学会の提唱する糖尿病の治し方とは?
さて、今度は2型糖尿病の治し方です。
ちなみに日本糖尿病学会の治療ガイドによると、その治し方は以下の通りです。
・カロリー制限→男性1400~2000kcal、女性→1200~1800kcal
・摂取する栄養素の割合→炭水化物:60%、タンパク質:20%、脂質:20%
・1日3食
果たして、このような食事で糖尿病が治るのでしょうか?
既にお話していますが、血糖値を上げる栄養素は糖質だけです。
ところが、炭水化物の摂取の割合が60%というのは普通に考えても疑問です。
結局のところ総摂取カロリーをいくら制限しても、あるいは食事の回数を限定しても、糖質カロリーの割合が高ければ血糖値の上昇を招くのです。
これでは糖尿病が治るどころか、逆に症状を重くする可能性さえあるでしょう。
つまり、日本糖尿病学会の治療ガイドにある治し方には、少なからずの疑問が残る訳です。
糖質制限ダイエットは糖尿病にも有効
では、2型糖尿病の治し方で最良の方法は何か?
それは糖質制限です。
また糖質制限はダイエットにも有効ですから、糖尿病とメタボ改善の一石二鳥の効果があります。
そもそも、内臓脂肪が増加してメタボになるのは糖質の摂り過ぎが主な原因です。
糖質を摂取するとエネルギー源として筋肉や肝臓に一時的に蓄えられます。
しかし、そのストック量は1500キロカロリー程度にしか過ぎません。
そして過剰に摂取した糖質は中性脂肪に作り変えられて内臓脂肪になる訳です。
既にお話している通り、メタボで増加した内蔵脂肪から分泌される遊離脂肪酸などの物質がインスリンの働きを鈍らせます。
ですから、この内蔵脂肪を減らしてメタボを改善すれば糖尿病も治るという事になります。
糖質制限の効果
では、糖質制限の効果についてお話しておきたいと思います。
私たちのエネルギー源には、糖質と脂肪の2つがあります。
そして優先的に使われるのが糖質で、脂肪は予備のエネルギー源です。
ですから糖質の摂取を減らしてエネルギー不足の状態にすれば、必然的に脂肪を燃やしてエネルギーにする必要がある訳です。
これが糖質制限ダイエットの原理です。
糖質制限ダイエットのコツ
ただし、主食の糖質(炭水化物)の摂取を減らしてしまうと、今度はトータルの摂取カロリーが不足してしまいます。
すると脳は筋肉を減らしてカロリーの消費を抑えようと考えます。
つまり省エネ体質になるので脂肪は上手く減らないという事になります。
そこで必要なカロリーを満たす為に、糖質を減らした分はタンパク質をしっかり食べると良いでしょう。
タンパク質は体脂肪に変わりにくいので、ダイエットには最適な栄養源となるのです。
こうした食事であれば内蔵脂肪を減らせる上に、血糖値の上昇を抑える事も出来ます。
これが、メタボや2型糖尿病が糖質制限で治る可能性が高くなる理由です。
まとめ
(1)糖尿病はインスリンの異常により、持続的に血糖値が下がらない状態にあります。
(2)正常なインスリン分泌の働き。
- 基礎分泌→呼吸、循環、消化吸収に伴う血糖値の上昇を抑える。
- 追加分泌→糖質の摂取に伴う血糖値の上昇を抑える
(3)三大栄養素の脂質、糖質、タンパク質の中で、食事によって直接的に血糖値を上昇させるのは糖質(炭水化物)のみです。
(4)糖尿病の種類。
- 1型糖尿病→膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンの分泌機能が失われている
- 2型糖尿病→インスリン抵抗性により、インスリンの効きが鈍くなっている
(5)1型糖尿病の治し方。
- 破壊された膵臓のβ細胞は自然再生しないので、インスリン注射が必要
- 再生医療の研究が進むと将来的には治る可能性がある
(6)2型糖尿病の治し方。
- 糖質制限で内蔵脂肪を減らす
- 内蔵脂肪が減ると、インスリン抵抗性が改善されて糖尿病が治る可能性が高くなる
いかがでしょうか。糖尿病は治らない病気と言われていましたが、2型糖尿病の場合は糖質制限で治る可能性が高くなります。
また糖質制限でメタボを改善すれば、糖尿病を未然に防ぐ事も可能です。
こうした点を踏まえ、日頃から糖質の過剰摂取には気をつけましょう。
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