伝説のボディビルダー、マッスル北村は39歳で亡くなりました。
その死因は、減量期における過酷な食事メニューによるものです。
そして、一般的には餓死と言われています。
では、その食事メニューとは一体どういう内容だったのか?
そこで今回は、マッスル北村が減量期の食事で餓死してしまった理由について話します。
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【目次】
(1)マッスル北村いわく「食事もまたトレーニング」
- マッスル北村の増量期の食事メニュー
- 体重が70kgまで増量するが…
- ”強力わかもと”で消化力をアップ
- なぜ、そこまでして食べるのか?
(2)マッスル北村は、減量で何度か餓死しかけていた
- 減量方法①
- 減量方法②
- マッスル北村は、トレーニング中に餓死しかけた
- マッスル北村は、自宅でも2回餓死しかけていた
(3)マッスル北村の死因、低血糖症の危険性とは?
- マッスル北村が減量中に急死
- 低血糖症とは?
- 低血糖症になると
まとめ
(1)マッスル北村いわく「食事もまたトレーニング」
ボディビルダーの食事メニューというのは、筋肉を増やして身体を大きくする増量期と、
余分な皮下脂肪を削ぎ落として筋肉の隆起を際立たせる減量期で大きく異なります。
特に、減量期はコンテスト前の大切な時期でもありますから、
ここで如何にして皮下脂肪を減らせるかによって勝敗が大きく分かれます。
マッスル北村は「食べる事もまたトレーニング」と言っていた通り、
その増量期における食事メニューは人並み外れていました。
まずは、その内容を見てみる事にしましょう。
マッスル北村の増量期の食事メニュー
マッスル北がボディビルを始めた当初の体格は、身長が173cmで体重は55kgほどの筋肉質な痩せ型タイプでした。
そこで、マッスル北村は筋量を増やして大きくなる為に、とにかく食べれるだけ食べまくったと言っています。
その時の食事メニューがこちらです。
・全卵:20~30個
・牛乳:2~3リットル
・サバの水煮の缶詰3缶
・プロテイン200~300グラム
これを一日のノルマとしながらも、それに加えて家族と同じ食事を摂り、
更に寝る前には味噌汁に卵、野菜、冷や御飯を放り込んだ鍋一杯の雑炊を食べていたそうです。
体重が70kgまで増量するが…
こうした食事メニューでマッスル北村の体重は70kg弱まで増えましたが、
その時点で彼の体重の変化は一時的に止まってしまったそうです。
おそらくホメオスタシスが働いたのでしょう。
ホメオスタシスとは恒常性とも呼ばれ、身体の状態を一定に保とうとするリミッターのようなものです。
これはダイエットでもよく起こる事で、いわゆる停滞期がそれに当たります。
つまり、過食によって体重が増え続けた場合や、逆にダイエットで体重が減り続けた場合、
脳はこれ以上の体重の変化は危険であると判断する訳です。
そこでホメオスタシスが働いて、強制的に体重の増減を止めてしまうのです。
マッスル北村の場合は、体重が増えなくなってから3カ月の過食を続けたところ、再び面白いように体重が増え始めたと言います。
つまり、その時点でホメオスタシスが解除されたという訳です。
”強力わかもと”で消化力をアップ
普通の人がマッスル北村と同じ様な食事メニューで過食を続ければ、直ぐに胃腸が壊れてしまうでしょう。
もちろん、マッスル北村自身も胃が苦しくて絶えず吐き気をもよおしていたそうです。
そこでマッスル北村は、消化を助ける手段として整腸薬の”強力わかもと”を食事の度に30錠ほど飲んでいたのです。
こうした過食を通じて胃腸が鍛えられる事により、マッスル北村は”強力わかもと”なしでも胃もたれしなくなったと言っています。
ただし胃拡張気味になり、食事の後になると腹回り全体が異様に膨れ上がっていたそうです。
なぜ、そこまでして食べるのか?
筋量を増やして身体を大きくするには、オーバーカロリーの原則を満たす必要があります。
これは、摂取カロリーを過剰にする事によって、ようやく筋肉を大きくする為の栄養が確保できるという事です。
つまり、食事で摂取した栄養は生命維持に必要なところから優先的に利用されるので、
重要性は二の次となる筋肉の成長については後回しにされる訳です。
そこで、筋肉を増やす為の栄養を確保するには、出来るだけたくさん食べてカロリーの余剰分を生み出す必要があるのです。
マッスル北村の体重はMAXで115kgあったと言われていますが、
この日本人離れした体格というのは、過酷な食事を抜きにしては考えられなかったでしょう。
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(2)マッスル北村は、減量で何度か餓死しかけていた
減量期のボディビルダーは、腹回りが皮一枚になるまで皮下脂肪を削ぎ落とす訳ですが、
そのやり方を間違えると、場合によっては生命の危険すら伴います。
マッスル北村の死因は、この減量期における徹底的な食事方法にありました。
そして、生命を維持する上で最低限に必要な栄養が極度に不足したため、最終的には餓死に至ってしまったのです。
では、マッスル北村の死因となった過酷な減量について見ていきましょう。
減量方法①
ボディビルダーの減量方法は人によって異なります。
マッスル北村がある時期まで行っていたのは、食事で炭水化物の摂取量は落とさないまま、
脂肪やタンパク質の摂取を減らしていくという方法でした。
この方法のメリットは、ヘビーウエイトで筋肉を追い込む高レベルの筋トレが持続できる点です。
なぜなら、筋トレのような瞬発系の運動においては、主に炭水化物に含まれる糖質がエネルギーとして利用されるからです。
ですから、糖質エネルギーを満タンの状態にしておく事によって、トレーニングのパフォーマンスが向上する訳です。
一方で皮下脂肪を減らす為には、体内の糖質を使い切った上で更に予備エネルギーの脂肪を燃やさなければなりません。
その為には大量の有酸素運動が必要となります。
そこで、マッスル北村は高強度のウエイトトレーニングを行いながら、
更に2kmの水泳や、ジョギングなら最低でも10km、長い時は25kmは走っていたそうです。
ただし、大量の有酸素運動は身体に大きな疲労を残してしまうデメリットがあるので、
マッスル北村は、ある時期から別の減量方法を試みます。
減量方法②
それは、食事とウエイトトレーニングのみで皮下脂肪を落としていくという方法です。
この場合は食事でタンパク質の摂取量を大幅に増やし、糖質を抜いてエネルギー源は全て脂肪から摂取します。
その狙いというのは、糖質の摂取を抜いてしまう事によって、
脂肪を効率よくエネルギー利用する事を身体に覚え込ませる為であったようです。
そしてもう一つの狙いは、低糖質状態における筋肉の異化分解を防ぐという点です。
もし体内の糖質が不足した場合は、筋肉を分解して糖質を作り出す糖新生が起こります。
つまり、異化分解というのは筋肉を減らして必要な栄養を作り出すという事になりますから、
特にボディビルダーの場合は筋肉量を維持する為にも、出来る限り回避しなければなりません。
そこで筋肉の減少を防ぐ為に、筋肉の材料であるタンパク質を大量に摂取する必要がある訳です。
しかし、この食事方法が裏目に出てしまい、マッスル北村は何度か餓死寸前の状態に追い込まれる事になるのです。
マッスル北村は、トレーニング中に餓死しかけた
さて、食事で糖質の摂取を完全に抜いてしまうと脂肪はエネルギー利用されやすくなります。
しかし、一方では深刻な弊害が生まれる事もあり、それがマッスル北村の死因となった低血糖症です。
マッスル北村は、減量の最終段階になるとタンパク質のみを摂取し、
唯一のエネルギー源である脂肪の摂取をカットしてしまいます。
すると、エネルギーに変わるのは僅かに残った皮下脂肪と、糖新生によって作られる糖質のみという事になります。
そんなある日、マッスル北村がこうしたエネルギー不足の状態で何時ものようにゴールドジムに向かったところ、
なぜか何時もとは違う息苦しさを感じながら、不吉な予感が走ったと言ってます。
そして予感は的中し、マッスル北村はトレーニングの最中に意識を失い病院に運ばれてしまったのです。
原因は極度の減量による疲労と低血糖でしたが、もし運が悪ければそのまま餓死していたかもしれません。
それ以来、マッスル北村は同じ失敗を繰り返さないように、
ゴールドジムにおいては果糖ドリンクを飲みながらトレーニングを行ったそうです。
マッスル北村は、自宅でも2回餓死しかけていた
マッスル北村は、低血糖が原因で他にも自宅で2回餓死しかけた事があると言っています。
1回目に倒れた時は、手足の感覚がなくなる寸前に、冷蔵庫に冷やしておいた果糖ドリンクを震える手でつかみ、
何とか口に運んで補給をする事で危機を脱したそうです。
そして2回目は、トイレに行こうと立ち上がった時に目まいがし、気が付くとキッチンの床に倒れていたそうです。
その時は意識のあるうちに何かを口にしないと命が危ないと思ったそうですが、
何しろ手足が思うように動かず立ち上がることすら出来ません。
そして辺りを見回すと、偶然にもビニールに包まれたフランスパンが床に転がっていたのです。
そこで、蛇のように身体をくねらせながらパンに辿り着き、口だけでビニールごとパンに食らい付いて再び危機を脱しています。
参考記事⇒痩せながら筋肉をつける!筋肥大と減量を両立するダイエット方法
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(3)マッスル北村の死因、低血糖症の危険性とは?
マッスル北村が減量中に急死
2000年8月3日、マッスル北村は極度の低血糖で急性心不全を起こして亡くなりました。
ちょうど、ボディビルの世界選手権に向けての減量中の出来事でした。
それまでも、何度か低血糖で倒れながら運よく助かってきたマッスル北村ですが、
この時ばかりは処置が間に合わなかったようです。
そして、死亡時の体脂肪率は僅かに3%を下回っていたと言われています。
日頃からマッスル北村の身体を心配していた妹は、「目まいがしたら、飴一個でいいから舐めて」と懇願していたそうですが、
マッスル北村は、「僕は、そんな僅かなカロリーすら摂取したくないんだ」と言って聞き入れなかったようです。
こうした徹底的な減量が裏目となり、マッスル北村は自らで寿命を縮めてしまったのです。
低血糖症とは?
では、マッスル北村の死因となった低血糖症とは何か?
まず、私たちの身体のエネルギー源となるのは、脂肪と糖質の2つです。
そして、優先的にエネルギー利用されるのは糖質で、脂肪は予備のエネルギーです。
ただし、脂肪が燃えるには糖質が着火剤の役割を果たしますから、
いくら体脂肪が残っていたとしても、糖質が枯渇すればガス欠状態になる訳です。
つまり、低血糖とは極度にエネルギーが不足した状態という事になります。
そして極度の低血糖状態になると、自らの意志に反して身体を自由に動かす事が出来なくなる訳です。
これが、マッスル北村が何度も餓死しかけていた状態なのです。
低血糖症になると
低血糖の症状は、段階的に次のように進行していきます。
・空腹感、あくび
・倦怠感
・発汗、動悸、震え
・意識不明、昏睡
もし、最終段階まで症状が進行してしまうと命の危険性もありますから、
低血糖の症状が見られた場合は速やかな糖質の摂取が必要です。
最も吸収が早いのは、分解の必要がなくストレートに吸収されるブドウ糖です。
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まとめ
マッスル北村が伝説のボディビルダーと言われる所以は、己の肉体を通じて究極を求めた姿勢にあったのではないでしょうか。
だからこそ、マッスル北村は日本人としては規格外とも言える、あれだけの肉体を作り上げる事が出来たのです。
しかし減量中の食事においても究極を求めるあまり、最後は己の肉体を極める途中で餓死に至りました。
その死因となった低血糖の危険性については、マッスル北村も十分に自覚していた筈ですが、
皮下脂肪を1ミリでも薄くしたいという欲求が、遂に肉体の限界を超えてしまったのです。
もしマッスル北村が生きていれば、ナチュラルボディビルダーとして世界でどこまで活躍していたのか?
そう思うと、マッスル北村の伝説はますます深まるばかりです。
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